「論破」しないデンマーク人

雨に台風に10月にしては生憎のお天気の今週、デンマークから友人家族が私の家に遊びにきていました。デンマーク人、北欧人と聞いたら、なんとなく寡黙でクールなイメージがあると思います。寒くて暗い気候だからか、南欧のスペイン人やイタリア人と比べると静かで落ち着いている雰囲気は確かにありますが、寡黙ではないと思います。少なくとも私が知っているデンマーク人はめちゃくちゃ喋ります。おしゃべりというレベルを超えて、いつでもどこでも真剣にディスカッションを始めます。

今年の春にも、おっさん2人が日本にやってきたのですが、2人は移動中も、観光地でも、温泉でも家でも朝でも寝る前もずーっと喋っていました。寿司屋に行った時も、ついヒートアップしては、ちょくちょく私に、

「喧嘩してるわけじゃないから!心配しないでね!」

と言いつつ話は止まらず、周りで食事をしていた日本人は喧嘩していると思ったかもしれません。飛行機でも客室乗務員の人に、

「喧嘩しているのか、お話しているのかどっちですか?」

と聞かれたそうです。でも彼らが言うには、その喧嘩のような議論をした後は、ますます仲が深まるらしいです。そしてより良い解決策が生まれるのだと。

 

この2人は極端かもしれませんが、他のデンマーク人もやっぱり議論は好きで、パーティーでも食事でも、老若男女「おしゃべり」という枠を超えた議論をします。

語学学校であっても毎日「はい、じゃーグループを組んで話し合ってー」みたいなことを言われるので、日本人の私はそういう機会がある度に(げーー)と思って、慣れない話し合いにおそるおそる参加していました。

海外に行って、こういう場面で肩身の狭い思いをする日本人は多いと思います。語学の問題もあるかもしれないのですが、一番はそういう意見のぶつけ合いみたいなものに慣れていないからだと思います。

 

なんの違いでしょうか?

今週遊びにきたデンマーク人夫婦には8歳の娘さんがいて、少し教えてもらったのですが、デンマークの学校では定期テストというものがないそうです。暗記教育の代わりに、学校で子供たちが教わる土台とされているのが「対話による民主主義を学ぶこと」だそうです。と言っても難しいことではなく、自分はどう考えるか、どう伝えるか、そして相手の意見も聞くことを小さな頃から学ぶそうです。

授業はグループワークが中心で、例えば先生に、「私はこういう理由でこれをしません」「私はこれをします」というような個人の意見も尊重されるそうです。(生徒と先生は対等な関係)

 

そんな環境で育ったデンマーク人は、どんな話題を振られても、さっと自分の意見を言うことができます。最近わかってきたことなのですが、意見を言う前に、その意見が本当に正しいかどうか、間違っていることを言っていないかということをあまり気にしておらず、何が正しいかどうかは、相手の意見も聞いて、話をしながら導きだしているようです。

 

デンマークの学校の話を聞いて、

「日本はみんな同じこと、正解か不正解かという二択をひたすら覚えさせられるだけだからうらやましいな」

と言うと、

「確かにクリエイティブなことは、私たちが得意としていることかもしれません。ただ、日本はテクニカルなことは素晴らしいですよね」

と言っていました。

手放しでデンマークを賞賛するわけではありませんが、福祉やデザイン、環境問題など社会のポジディブな分野で進んでいる国の土台となっているのはこの「対話力」なのではないかと思います。

 

こういうことを知る前は、私もデンマークで意見をばーっと言われると、なんとなく一方的に言われたり否定されているように感じて、それに反撃しなきゃと頭が真っ白になることがありました。でもこれは、「否定」ではなく「対話」であり、力を抜いて楽しめばいいのだということがわかってきました。

 

最近は短文で自分の意見を投稿できる時代ですので、「論破」という言葉を良く見ます。

討論でも、どれだけ相手を黙らせられるか、足を引っ張れるか、上手く話を逸らせられるかなど、スポーツのような勝ち負けに見える時があります。

論破をしてしまうと相手は黙り、そこで議論は終わってしまいます。その結果は、エゴと恨みしか残りません。対話を続けることは、相手の意見も聞かなければならないので簡単ではありませんが、お互いの関係だけでなく、新しいものを生み出すきっかけともなるそうです。私も、自分と意見の合わない人は避けるふしがあったなとデンマーク人との対話を通して反省しました。

選挙の日、少し真面目なブログになりましたが、様々な意見があり、活発な議論によって作られる国であってほしいなと願います。そのためにはまず個人から、どんな意見であっても、必ず反対の意見は存在し、それから逃げずに「対話」を通して向き合っていくことも大事なのかなと思いました。

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